プロジェクト概要

― 研究の目的 ― 
2003年春にヒトゲノム計画が人間のDNAの全解読を達成しポストゲノム時代にある今日、遺伝子と特定の疾患の関係の解明が急速度で進められており、人々の将来の健康状態が今まで以上に予測可能となりつつあります。また同時に遺伝子検査技術も加速度的に進歩を遂げ、より低コストで個人の遺伝情報を容易に入手可能になりつつあります。このような個人の究極のプライバシーとも言える遺伝情報は、自然的不平等を助長し医療目的以外の雇用や保険その他の場面における差別や遺伝子格差社会を生じさせる強い懸念が指摘されています。本科研プロジェクトは、科研費基盤(B)遺伝情報のプライバシーと遺伝子差別の法規制(平成22年度~24年度)の助成を得て、米国を中心とした諸外国の医療保険や生命保険における遺伝情報プライバシー保護の法政策や日本での現状を調査し、そこにある倫理的法的社会的諸問題を検討することで、日本社会において遺伝情報のプライバシー保護の取扱をめぐる法政策のあり方の提言を行うための情報収集と検討を学際的に遂行することを目的とします。

       

ご挨拶

生命科学技術の発展は、希望や恩恵といった光の側面のみならず社会的格差や差別などの意図せざる結果をもたらすなど新たな倫理的社会的法的問題を提起しています。遺伝情報の解明とプライバシーの問題もその一つです。また法(規制)も万能薬ではなく、薬と同じく副作用を伴うものです。価値観の多様化が進む日本社会において個々人と将来世代のために遺伝情報のプライバシー保護にあたって今後いかなる法政策が望ましいのか、皆さんと一緒に考えていきましょう。

 

みなさまからの情報提供やご意見を広く募集します。
遺伝情報のプライバシーと遺伝子差別など、情報およびご意見をお寄せください。


阪大法学第62巻第3・4号に論文投稿

「ドイツ法における人の遺伝子診断法による告知書の変化と課題」というタイトルで、 ドイツの各保険会社の告知書における「遺伝子診断に関する重要な注意事項」を比較検討し、それぞれの特徴や問題点などを探っている。

平成24年度第2回会議

平成24年度第2回会議 2012年11月4日(日)

第31回日本医学哲学・倫理学会ワークショップのお知らせ

2012年11月17日(土)10:45~12:15 金沢大学医薬保健学域保険学類・鶴間地区 「遺伝子情報のプライバシーと差別をめぐる倫理的社会的問題(ELSI)の検討」 司会:瀬戸山晃一 報告:山中浩司・岩江壮介・岩田太 …

ホームページに連絡窓口の開設

みなさまからの情報提供やご意見を広く募集します。 ご自身やお知り合いの方で、遺伝情報に基づいて、何らかの差別を受けたり、不利益な扱いを受けたりしたことはありませんか。 また、遺伝子科学の進歩について、不安に思うことはあり …

平成24年度第1回会議

平成24年度第1回会議 2012年6月23日(土) 報告「アメリカにおけるNewborn Screeningをめぐる倫理と法:Newborn Screeningの効果と残余血液サンプルの研究利用―Bearder vs. …

生命保険論集176号に論文投稿

「ドイツ法における人の遺伝子診断法18条と保険加入 ―とくに告知義務について」というタイトルで、ドイツ法における人のGenDG18条の保険加入の際の問題点として、遺伝子検査結果の要求、受領および利用を禁止する同18条の意 …

第4回「遺伝情報のプライバシー」科研会議

第4回「遺伝情報のプライバシー」科研会議を、研究代表者及び全ての研究分担者、その他特任研究員等の参加の下、平成23年3月29日午後1時~午後5時に大阪大学吹田キャンパスICホール4階会議室にて開催しました。 まず研究分担 …

平成22年度科研費・海外研究調査日程(実施行程)

渡航目的:ドイツにおける遺伝子診断法と保険加入に関する問題の研究調査のため 研究調査日程: 2月28日(月) ボンにある保険監督を担当するドイツ連邦金融監督庁の担当者とはメールでのやり取りをしていたが、遺伝子診断法に関し …